自殺と精神疾患

原文:PROTOCOL OF SUPRE-MISS p80-81

先進国においても,発展途上国においても,大多数(80-100%)の自殺者は精神疾患を抱えています。自殺者が2つ以上の精神疾患を抱えていることはよくあることです。

うつ病

うつ病は自殺者に最もよくみられる精神疾患です。

誰でも憂うつになったり,悲しくなったり,また,寂しくなったり,情緒不安定になったりするものです。しかし,そのような感情は,普通はすぐに消えるものです。しかし,そのような感情が続いて,日常生活に支障をきたすようになると,単なる憂うつな感情ではなくて,うつ病の状態になります。

ほとんど一日中悲しい気持ちでいるというのは,うつ病の症状です。日常生活に興味がなくなったり,いつも疲れたように感じたり,自分の弱さを感じたりするのも,うつ病の症状です。寝ている時間が長い,あるいは,短い,起きるのが早い,体重が増える,あるいは,減る,自分に価値がないように感じる,罪の意識を感じる,希望が持てない,いつもイライラして落ち着かない,集中できない,決断できない,物覚えが悪い,繰り返し死や自殺について考えてしまうというのもうつ病の症状です。

睡眠不足や重大な病気,記憶障害,動揺,パニック障害,自己軽視といった症状がある人は,自殺する可能性が高まります。

うつ病患者がうつ病と診断されないのは,いくつかの理由があります。

アルコール症

アルコール症(アルコール乱用とアルコール依存症を指す)は,自殺者によくみられます。特に若い自殺者によくみられます。5-10%のアルコール依存者が自殺します。アルコールの影響下で自殺する人も多いです。

若いうちに飲酒を始めると自殺の可能性が高まります。また,長期間にわたって飲酒すること,深酒することも自殺の可能性を高めます。憂うつに感じる,健康を害している,仕事で成果が上がらない,私生活が乱れているといった状態にある人は自殺の可能性が高いです。配偶者や家族との別居,離婚,死別は自殺の可能性を高めるかもしれないと言われています。

アルコール症とうつ病の両方を抱えている人は自殺の可能性が非常に高いです。

統合失調症

統合失調症の人の最大の死因は自殺です。約10%の統合失調症患者が自殺をします。

統合失調症は,言語,嗜好,聴覚,視覚,衛生状態,社会的行動の障害が特徴的です。要するに,行動や感情の劇的な変化や,突飛な考えが特徴です。

統合失調症の初期段階や,若くて独身の無職の男性は自殺の可能性が高いです。統合失調症が頻繁に再発する,憂うつに感じている,妄想癖があって疑い深い,教育水準が高いといった人も自殺の可能性が高いです。再発の早い段階で,統合失調症を乗り越えたと思っていたのに,症状が再発したときや,回復の兆しが見えた段階で,外見上,症状が良くなったようにみえて,内面では傷つきやすくなっているときに,自殺の可能性は非常に高いです。

人格障害

人格障害のうち,境界性人格障害や反社会的人格障害は自殺との関連性が高いです。衝動性や攻撃性も自殺と関連しています。

不安障害

不安障害のうち,パニック障害や,強迫性障害が最も自殺と関連性が高いです。心身症や摂食障害も自殺行動と関係があります。

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